大会事務局

国立循環器病研究センター
第54回近畿理学療法学術大会事務局
事務局長 尾谷 寛隆
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大会趣意書

第54回 近畿理学療法学術大会
大会テーマ「治療としての理学療法」

趣旨

理学療法の目的は、理学療法士及び作業療法士法第二条第一項において、身体に障害のある者における基本的動作能力の回復を図ることとされています。基本的動作能力の回復においては、反復練習などによって動作能力そのものを高めることが有効である場合があります。また、最近は生活リハビリテーションという名のもとに、対象者の日常生活場面で理学療法技術をもとに生活を支援して行くというシステムが多くの医療機関、特に回復期リハビリテーション病棟で導入されてきています。

一方、基本的動作能力の改善には、基本的動作能力を低下させている原因に対する介入も重要です。これは、身体構造や心身機能に対する介入であり、いわゆる機能障害を改善させるための治療的アプローチです。

では、理学療法は反復練習により動作を獲得させたり、機能障害を改善させたりすることだけでしょうか。身体機能を最大限に活用した動作練習を反復することで動作の実用性を向上させることは重要な理学療法です。また、関節可動域制限や筋力低下などの機能障害を改善させることは理学療法の重要な目的(効果)であることに間違いはありません。一方、下肢骨折後の部分荷重は損傷組織の治癒経過に対応して設定されますが、適切な荷重は骨のリモデリングを促進し、強度の高い造骨に貢献できます。また、靭帯再建後では、靭帯の修復過程に応じた負荷設定(動作許可)により、再生する靭帯が強靭にもなれば脆弱にもなります。つまり、我々理学療法士は、機能障害、能力障害の改善だけではなく、組織の治癒に貢献することができます。換言すると、理学療法士の力量によって治癒した組織の強度が変わるということです。そして、そのためには現象を現象で理由づけるようなクリニカルリーズニングではなく、客観的に理解した病態と治癒過程、および実際の治癒経過をもとにした臨床推論を展開していく必要があります。

第54回近畿理学療法学術大会は、医学的リハビリテーションのツールとしての理学療法ではなく、治療医学としての理学療法について考える機会としたいと思っています。

第54回 近畿理学療法学術大会
大会長 : 大工谷 新一(岸和田盈進会病院)