大会長あいさつ

第28回大阪府理学療法学術大会を開催するにあたって

大会長  中村昌司(葛城病院)



公益社団法人大阪府理学療法士会は、平成28年度に創立50周年を迎えます。このような節目の年に大会長を拝命することは大変名誉なことであり、設立から今日までの半世紀に渡り、大阪府民の保健・医療・福祉の礎を築いてこられた諸先輩、同輩の方々へ感謝するとともに、これからの府士会活動を引継いで頂く若い世代の後輩たちのためにも大いに意義あるものと感じています。

国は現在、約800万人の団塊の世代が75歳以上となり、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを生涯に渡って続けられるよう、医療介護・予防生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステムの構築」を推進しています。もちろん医療や介護、予防の領域で働く我々理学療法士は、上記構築に向けて積極的に協力し、専門職としての知識と技術を活かし地域を支援すべきだと思います。しかし、我々にとって2025年はあくまでも通過点であり、決してゴールではありません。高齢者の人口が減少に転じる2040年以降までを見据え、それ以降の我々の役割についても考えていく必要があると思います。

医学は近年の科学技術の進歩により革新的に発展する一方、生命倫理や尊厳などが大きな課題となっています。また、社会や国際情勢、疾病構造の変化や障害の多様化など、理学療法士を取り巻く環境は大きく変化しています。これからも変わりゆく時代の中で、我々は社会ニーズの変化に柔軟に対応しながら、プロフェッショナリズムを維持、強化することが重要な課題だと思います。

本大会では、大会テーマを「理学療法の可能性を探る」とし、臨床、教育・研究のみならず、さまざまな職域や領域、専門性の視点から理学療法の可能性を再考したいと考えております。

基調講演やシンポジウム、他にも企業展示、ランチョンセミナー、また特別企画としては創立50周年特別講演、府士会事業活動報告などを計画しています。

本大会にご参加いただく皆様にとって、次の50年に向けた理学療法の可能性を考える機会になれば幸いです。多数のご参加を心よりお待ち申し上げます。